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弦巻 星之介

「ラフ」 著 あだち充

「ラフ」 著 あだち充 「タッチ」や「H2」などが有名なあだち充さんの話ですが、この作品はなかなか隠れた名作だと思います。 野球ではなく、水泳を題材にしていますが、あだちさんらしく、ラブコメが主題なので、背景として描かれているスポーツが野球だろうが水泳だろうがあまり変わりはありません。 この作品が数あるあだち作品の中でも特徴的なのは、主人公とヒロインが険悪なところからスタートするという点です。 「 […]

「偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析 編 北村英哉・唐沢穣

「偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析  編 北村英哉・唐沢穣 偏見や差別がなぜ起こるかについて、心理学から徹底的にアプローチをされた本です。 第一部では、偏見・差別の仕組みについて書かれており、そもそも偏見・差別とは何なのかについて、理論的に読み解かれています。 ステレオタイプの作り方などは、非常に勉強になりましたし、偏見・差別がいかに政治やイデオロギーとも密接であるかが丹 […]

「嘘と政治 ポスト信実とアーレントの思想」 著 百木 漠

「嘘と政治 ポスト信実とアーレントの思想」  著 百木 漠 ある意味現代社会においてもっと読まれるべき本の一冊かもしれません。 フィルターバブルによって社会的分断が行き着くところまで来てしまっている世界の中で、わたしたちがどう考え、何をするべきなのかに対して、ヒントを与えてくれる作品です。 著者は、今の社会において問題なのは、政治家が嘘をつくことについて意に介さなくなり、言葉の無力化を図っているこ […]

「法治の獣」 著 春暮 康一

「法治の獣」 著 春暮 康一 「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野をわたる」の三つの中編が収録されています。 どれも著者の豊富な生物学の知識によって書かれた作品で、この分野に興味がある人には堪らない話ですね。 徹底して生物学の観点から物語にアプローチしているので、そのこと自体がこの著者の猛烈な個性になっています。 三編とも一つの時間軸の中での話だそうですか、そのうち、最初の「主観者」と最後の「方舟は […]

「社長島耕作」 著 弘兼 憲史

「社長島耕作」 著 弘兼 憲史 ついに島耕作が社長になったわけですが、さすがに日本を代表する企業の社長ともなると話がワールドワイドになってきますね。 連載当時の世界情勢などを鑑みながら話が進んでいくのでそれはそれで面白いのですが、登場人物の意志とは関係のない、つまり一人の人間の力ではどうにもならないところで話がまとまってしまうところがあるので、ドラマツルギーとしてはどうしても課長・部長時代などと比 […]

「科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで」 著 古川 安

「科学の社会史 ルネサンスから20世紀まで」 著 古川 安 単なる科学史ではなく、科学が社会にどう影響を与えたのか、またどのように世の中に浸透していったのかという点に重点が置かれている本です。 のっけから少し驚かされたのが、科学はそもそも独立しておらず、哲学の中の一分野であったという点。 確かに冷静に考えてみれば、自然科学ですからね。 自然を研究することが、すなわち科学であるというわけで、それが時 […]

「ドラえもん のび太と空の理想郷」

「ドラえもん のび太と空の理想郷」 この時期恒例のドラえもん映画。 今年も子どもたちと観に行きました。 脚本は、古沢良太さん。 今年の大河ドラマ「どうする家康」もそうですし、「Always 三丁目の夕日」シリーズや、「探偵はBarにいる」シリーズを書いている、今ノリに乗っている脚本家ですね。 内容は、ユートピアを求め、そこに染まることが、ときに心をなくしてしまうことに繋がっていしまうかもしれないと […]

「輝石の空」 著 N・K・ジェミシン

「輝石の空」 著 N・K・ジェミシン 「第五の季節」「オベリスクの門」に続く、「壊された地球シリーズ」の第三作目にして最終章ですね。 このシリーズの最大の特徴である圧倒的な世界観の謎をこの作品で一気に解き明かしていきます。 ここで明かされる世界観を最初にある程度考えた上で、第一作目から書いているのだと考えると、やっぱりすごい作り込み方をしていますね。 本作は、エッスンとその娘であるナッスン、そして […]

「ヴィンランド・サガ」 著 幸村誠

「ヴィンランド・サガ」 著 幸村誠 「プラテネス」で有名になった幸村誠さんの作品ですが、これは間違いなく名作ですね。 正直、「プラテネス」よりいいです。 ここ何年かで読んだマンガの中で一番いいんじゃないかな。 まずネタバレを含みますので、読んだ人のみ先を読んでいただければと思います。 さて、舞台が日本人にはなかなか馴染みのない、中世以前のヨーロッパで、しかも略奪・狼藉を働くバイキングを題材にしてい […]

「虚空の人」 著 鈴木 忠平

「虚空の人」  著 鈴木 忠平 元プロ野球選手のスター選手だった清原和博さんが覚醒剤取締法違反で逮捕されてから、執行猶予が開けるまでの様子を描いた本です。 実は、清原さんは、子どもの頃のわたしにとって、一番のスターだったんですよね。 物心ついたころから、西武ライオンズのファンだったわたしにとって、甲子園で大活躍してから西武に入団し、ライオンズの黄金期の四番打者として活躍していく清原選手の姿は、本当 […]