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文化

「ザ・ファブル」

「ザ・ファブル」 2019年/日本 人気漫画が原作の映画ですね。 わたしも原作を読みましたが、非常に面白い漫画でした。 面白い漫画だけに、映画化はある程度興行収入的には期待できるものの、内容的には、どうしてもハードルが高くなってしまいますね。 映画を観てまず思ったのは、基本的に漫画のストーリーを壊さずに追ったんだなということ。 ラストの砂川らの一味と小島との対決場面への持って行き方が異なっていまし […]

「消滅世界」 著 村田沙耶香

「消滅世界」 著 村田沙耶香 「コンビニ人間」で芥川賞を獲った村田沙耶香さんの作品ですね。 正直、評価するのがとても難しい独特な作品だと思いました。 まず一言でいえば、ジャンルが分からない。 一見、SFのように見えるのですけれど、書いてある内容や文体は純文学のそれであって、読み手を良くも悪くも戸惑わせます。 まあ、こうした境界線のなさが著者の個性であるといえば、その通りで、そういう意味では、この著 […]

「機動戦士ガンダムNT」

「機動戦士ガンダムNT」 2018年/日本 「逆襲のシャア」から「UC」に続く流れに沿った話ですね。 「UC」の物語を作った作家の福井晴敏さんが「UC」の外伝的に書いた小説を映像化したものです。 NTとはナラティブの略語であり、物語とニュータイプのダブルミーニングだそうです。 つまり、「逆襲のシャア」で登場したサイコフレームにまつわる話の続きであり、サイコフレームはパイロットの力をモビルスーツに直 […]

「王国」 著 中村文則

「掏摸」の姉妹編ですね。 「掏摸」で絶対悪として登場した木崎に対して、作者がどう決着をつけるのかが気になって読んでみました。 一読して感じたのは、「掏摸」で感じた悪に対する作者の嫌悪感が、悪に対してだけでなく、悪をシステムとして組み込むことを止めない社会そのものに対してのものなんだということがハッキリとわかったということ。 読む前に、勝手にこの作品は絶対悪である木崎の綻びを見つけ出し、そこに希望が […]

「掏摸」 著 中村文則

「掏摸」 著 中村文則 押し潰されるような、どうしょうもなく暗い、暗い世界。 スリと彼が巻き込まれる裏社会の深部の一端を描いたこの作品は、現実の暗部を文学に昇華させて描くことを特徴とする中村文則さんらしさがよく出ている作品だと思います。 重厚な文章でありながらも、どんどんと読者を物語に引き込むのは、中村さんの力量にほかなりませんね。 そして、芥川賞を獲った「土の中の子供」あたりのころは、世の中の不 […]

「零號琴」 著 飛浩隆

「零號琴」  著 飛浩隆 現在の日本SF界のトップランナーである飛浩隆さんの長編ですね。 寡作ながらも本を出すたびに批評家すらも驚かせる飛さんの作品ですが、いやあ、今回も驚かされました。 飛さんの作品は、細かい理系用語が飛び交うわけでもなく、また現在社会の諸問題を露骨にテーマにしているわけでもなく、その代わりに圧倒的な想像力があるんですよね。 しかも本作は、その飛さんが飛さんたることを証明している […]

鉛筆画:ギギ・アンダルシア

映画「閃光のハサウェイ」のヒロイン、ギギ・アンダルシアです。 この物語を小説で読んだのが三十年以上前……。 まさか大人になってから映像として観ることになるとは当時想像すらしていませんでした。 当時は小説で読む限りは小悪魔的な印象が強かったのですが、映像で見てみると、小悪魔と言うよりは繊細な子という印象を受けました。 これは視覚的に見ることによってそういうふうに思ったのか、それともわたしが大人になっ […]

「みんなが選んだルパン三世」を観て、改めて感じた宮﨑駿監督のすごみ

なかなか面白い企画でした。 金曜ロードショーでやった「みんなが選んだルパン三世」。 「ルパン三世:のアニメ化50周年を記念して、過去のテレビシリーズからファン投票で選ばれた4作を放映しました。 放映したのは、 第1位「さらば愛しきルパンよ」(第2シリーズ第155話1980年10月6日放映) 第2位「ルパンは燃えているか……?!」(第1シリーズ第1話1971年10月24日放映) 第3位「ルパン三世は […]

「連環宇宙」 著 ロバート・チャールズ・ウィルスン

「連環宇宙」  著 ロバート・チャールズ・ウィルスン スッキリしました。 「時間封鎖」シリーズ三部作の最後の話ですが、二部の「無限記憶」でやや消化不良であった部分が本作ではキッチリと解決されていて最後はSF小説の定番であるセンスオブワンダー的な描き方で大きなカタルシスを得ることも出来ました。 そして何より本作を読み進めていくうちに作者の意図というか、何を描きたくてこのシリーズを描いたのかというテー […]

「無限記憶」 著 ロバート・チャールズ・ウィルスン

「無限記憶」 著 ロバート・チャールズ・ウィルスン 評価の難しい話でした。 ヒューゴー賞に輝いた「時間封鎖」の続編ですが、続編として「時間封鎖」でわからなかった事実を解き明かしていくという意味では非常に興味深い話でした。 ただこの作品が三部作の真ん中であるがゆえに、まだまだ解き明かされない謎があるという感じで話が終わってしまうことにはどうしても消化不良感が拭えず、また話の構成としてもアイザックを通 […]