富士そばブラック報道から考える業界格差問題

「私たちは使い捨ての駒」富士そば社員8人、未払い残業代求め労働審判申し立て

富士そばのブラック報道がここにきてすごく出てきていますね。
ただでさえブラックだったのに、コロナ禍でそれが最悪になり、ついには堰が決壊して、破れかぶれになった従業員たちが声を出し始めたのでしょう。
わたしも当然何度か富士そばを利用したことはありますが、駅前などの利用しやすい場所にあって価格がリーズナブルなので、便利なんですよね。

ただその便利さが従業員たちの圧迫のもとに作られているのだとすれば、ちょっと考えものです。

ていうか、そもそも日本の場合、仕事の過酷さや賃金の格差が業界によってありすぎるんですよね。
どうしても人と接する感情労働が多い業種、介護、保育、医療、それに飲食などのサービス業、それから建設業や流通業などが割を食っています。
だって、利益が出る出ないがあるんだから当たり前じゃん。
と割を食っていない職業の人が言うかもしれませんが、大企業の法人税がどんどんと減っていく中で、賃金格差がどんどん生まれている。
資産を持つものは、余ったお金をどんどん投資していくので、金融機関や金持ち相手の事業は儲かる。
一方で資産を持たない人たちは、どんどんと財布の紐を閉じていく。
その結果、エッセンシャルな仕事にお金が回らなくなっているんですよね。

経済格差が広がれば、当たり前のように業界格差が広がり、どんどんと金持ち周辺のところだけが潤うという結果になっていくんです。
小学生でもわかる論理なのですが、都合の悪い論理なので国を率いている、資産のある経済界のリーダーたちはそんなことを当たり前のこととして問題にもしないし、見えないことにしています。

コロナ過で明らかになりましたが、飲食業なんてその最たる例ですよね。
しかもコロナで外国人は入って来なくなり、彼らを雇えなくなっているからますます残っている人たちが苦しくなっている。
でも、多くの人は自分には関係がない話だと無関心なんです。
お金持ちほどね。
でも、本当はお金がキチンとそれなりにみんなに行きわたらずに、特定のところでばかり回ってしまってることがそもそもの問題なんです。

経済とは「経世済民」の略語です。「経世済民」とは経済を世や民に回すという意味です。
勝っている人たちが偉そうに新自由主義を掲げて唱えているのは、「経済」ではありません。
あくまで、勝ち組をどんどん勝たせるための論理をそれらしくそれが正しいように言っているだけです。

ブラック企業は確かに悪い。
でも、ブラック企業が生まれるのは、社会構造がそもそもブラックだからということを忘れてはいけませんね。

関連記事
政府は就職氷河期世代を生んだことを公式謝罪するべき