「会長島耕作」 著 弘兼憲史
「会長島耕作 著 弘兼憲史 島耕作がついに会長になりましたね。 この一連の物語でよいところは、島耕作が出世していくにあたって、その時々の役職の人がどのような仕事をしているのか、想像することが出来ることです。 まあ、普通に生きていたら課長か、せいぜい部長ぐらいの人が何をやっているのかは想像出来ますが、その先となると偉そうにしているぐらいしかわかりません。 それが会長なんて存在になると、まったく想像 […]
「会長島耕作 著 弘兼憲史 島耕作がついに会長になりましたね。 この一連の物語でよいところは、島耕作が出世していくにあたって、その時々の役職の人がどのような仕事をしているのか、想像することが出来ることです。 まあ、普通に生きていたら課長か、せいぜい部長ぐらいの人が何をやっているのかは想像出来ますが、その先となると偉そうにしているぐらいしかわかりません。 それが会長なんて存在になると、まったく想像 […]
「ABC殺人事件」 著 アガサ・クリスティー アガサ・クリスティーの作品の中でも人気の高い、代表作の一つですね。 ミステリー用語でいうところのミッシング・リンクという手法の教科書的な作品といわれています。 確かに、無駄なくスルスルと読み進められ、騙されまいと思っていながらも、ああ、なるほど、そういうことか……と最終的に思わされてしまうところはさすがとしかいいようがありません。 細かいトリックに焦 […]
「そして誰もいなくなった」 著 アガサ・クリスティ アガサ・クリスティの名作ですね。 ミステリーの最高傑作の呼び名も高い作品です。 映画で観たことはあったのですが、改めて本で読んでみると確かにすこぶる面白かったです。 まずすごいなと思ったのは、無駄が全くないという点。 本当にスルスルと読めることが出来ました。 見ず知らずの人間が10人、離れ小島に呼び寄せられることで話が展開するのですが、圧巻なの […]
「寂しい丘で狩りをする」 著 辻原 登 ストーカやDV男とそれに怯える女性たちの話ですが、二十年以上前にこの内容を書いていますが非常に進んでいますね。 今でこそ、ストーカーやDVは悪いものだという一般認識がありますが、まだこの認識が甘かった時代に、それをしっかりと糾弾するかのように、こうした行為を行う人間を生々しく描いている点に好感が持てました。 物語は、レイプ被害に遭った敦子が加害者である押本 […]
「GANTZ」 著 奥浩哉 いやあ、これは面白かった。 最初は、主人公にどうにも感情移入が出来ず、どうしたものかなと思ったんですけど、主人公が劇的に変わっていくことの伏線だったんですね。 最初と最後でこれだけ印象が変わる主人公というのは珍しいです。 それにしてもまずこの作品は、アイデアが秀逸です。 死んだと思いきや、わけのわからない部屋にいて、わけのわからない戦いを強いられる。 そのわけのわから […]
「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」 著 上間陽子 沖縄において、貧困やネグレクト、虐待などか当たり前のように存在する環境の中で、必死に最善を選んで生きている少女たちのルポです。 全部で七人の少女のルポが本作に収録されていますが、どれもが胸に迫る記録であり、悲しいとか切ないとか、それだけでは収まらない複雑な感情を引き起こす作品です。 専門家として少女たちの話を枠にはめていくのではなく、あくま […]
「ラフ」 著 あだち充 「タッチ」や「H2」などが有名なあだち充さんの話ですが、この作品はなかなか隠れた名作だと思います。 野球ではなく、水泳を題材にしていますが、あだちさんらしく、ラブコメが主題なので、背景として描かれているスポーツが野球だろうが水泳だろうがあまり変わりはありません。 この作品が数あるあだち作品の中でも特徴的なのは、主人公とヒロインが険悪なところからスタートするという点です。 「 […]
「偏見や差別はなぜ起こる? 心理メカニズムの解明と現象の分析 編 北村英哉・唐沢穣 偏見や差別がなぜ起こるかについて、心理学から徹底的にアプローチをされた本です。 第一部では、偏見・差別の仕組みについて書かれており、そもそも偏見・差別とは何なのかについて、理論的に読み解かれています。 ステレオタイプの作り方などは、非常に勉強になりましたし、偏見・差別がいかに政治やイデオロギーとも密接であるかが丹 […]
「嘘と政治 ポスト信実とアーレントの思想」 著 百木 漠 ある意味現代社会においてもっと読まれるべき本の一冊かもしれません。 フィルターバブルによって社会的分断が行き着くところまで来てしまっている世界の中で、わたしたちがどう考え、何をするべきなのかに対して、ヒントを与えてくれる作品です。 著者は、今の社会において問題なのは、政治家が嘘をつくことについて意に介さなくなり、言葉の無力化を図っているこ […]
「法治の獣」 著 春暮 康一 「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野をわたる」の三つの中編が収録されています。 どれも著者の豊富な生物学の知識によって書かれた作品で、この分野に興味がある人には堪らない話ですね。 徹底して生物学の観点から物語にアプローチしているので、そのこと自体がこの著者の猛烈な個性になっています。 三編とも一つの時間軸の中での話だそうですか、そのうち、最初の「主観者」と最後の「方舟は […]